当院におけるFIP治療成績について
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当院におけるFIP治療成績について
これまでにも、猫伝染性腹膜炎(FIP)の治療について何度か取り上げてまいりました。そのたびに多くのお問い合わせをいただき、実際に受診してくださった方もいらっしゃいました。
今回は、当院でのFIP治療の成績についてお伝えしたいと思います。
当院では、2024年秋からモルヌピラビルによる治療を行っております。各種検査や診察時の状態を総合して、FIP、またはFIPの可能性が非常に高いと判断した症例のうち、当院で最後まで治療を行った症例、または転院先で同じ薬による治療を継続し、最終的に回復に至った症例を含めた治療成功率は、87.5%でした。
報告されている論文では、モルヌピラビルによる治療成績はおおむね8割前後、ムチアン(GS-441524系)でもおおむね8割半ばとされており、当院での結果は良好な成績であったと考えております。
当院では、治療薬を一律に同じように使用するのではなく、ウェット型、ドライ型、神経型といった病型や、食欲、活動性、炎症の程度など、その子ごとの状態に応じて投与量や補助治療を調整しながら治療を進めています。FIPの治療は抗ウイルス薬だけで完結するものではなく、全身状態を支えながら治療を続けていくことも重要であり、こうした個別の判断と支持療法の積み重ねも、当院での治療成績につながっている一因ではないかと考えております。
残念ながら助けることができなかった猫さんたちの多くは、来院時にはすでに開口呼吸や黄疸、貧血、強い衰弱などがみられ、意識がぼんやりしているほど状態が悪いこともありました。初めて来院された時点で、非常に厳しい状態であった症例が少なくありませんでした。
その一方で、まだ食欲が残っている症例では、一般的に難しいとされる神経型であっても、来院時には立てず、頭が傾いていた猫さんが、治療によって現在では元気に走り回れるまで回復したケースもあります。
また、他院でFIPではないかと言われて来院されたものの、当院で詳しくみた結果、別の病気が疑われた症例もあります。反対に、いくつかの病院を受診された後に当院でFIPと判断したものの、すでに病状がかなり進んでおり、残念ながら助けることができなかったケースもありました。
FIPは、腹水や胸水がたまるウェット型では比較的わかりやすいことがありますが、ドライ型や神経型では見た目だけでは判断が難しいことも多くあります。そのため、診断には複数の検査結果や全身状態をあわせて、慎重に判断していくことが大切です。
当院での検査内容や費用については、以前もご案内しております。現在も、治療費のことで大きな不安を抱え、クラウドファンディングなどで支援を募られているケースを目にするたび、胸が痛む思いです。FIPは、早い段階でご相談いただけるほど、病状に応じた治療の進め方を検討しやすくなることがあります。費用面も含め、できる限り現実的な形でご相談しながら進めておりますので、少しでも気になることがあれば、状態が悪化してしまう前にご相談いただければと思います。
ご自身の猫さんの様子が少しでもおかしいと感じたとき、また、まわりに困っている方がいらっしゃるときには、どうぞ一度ご相談ください。
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