FIP(猫伝染性腹膜炎)の治療についてよくいただくご質問

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FIP(猫伝染性腹膜炎)の治療についてよくいただくご質問

昨年9月にFIP治療のご案内を開始して以降、多くのご相談をいただき、実際に治療を受けられる猫さんも増えてまいりました。

このたび、よくお寄せいただくご質問について、あらためて簡単にご説明させていただきます。

 

Q1:FIPの診断はどのように行うのですか?抗体価だけで判断できますか?

A1:腹水や胸水が採取できる場合、それらの検査によってFIPかどうかを比較的確実に判断できます。
一方で、滲出液がない場合は、血液検査や画像検査など複数の情報をもとに総合的に診断します。
抗体価(コロナウイルス抗体値)だけではFIPの確定診断はできません。

 

Q2:治療をすれば確実に助かるのですか?

A2:残念ながら100%の成功率ではありません。
ただし、早期発見・早期治療によって多くの猫さんが回復しています。
体調やFIPのタイプ(滲出型・非滲出型・神経型など)によって治療効果は異なります。

 

Q3:治療期間はどれくらいですか?

A3:基本的には84日間の内服治療が標準です。
内服薬は1日2回の投与が必要です。

 

Q4:一度治ったら再発しませんか?

A4:再発の可能性は低いですが、ゼロではありません。
特に神経型FIPの場合は再発リスクがやや高くなります。

 

Q5:こちらで使用している薬は他院のHPで「安価な方」と記載がありました。高価な薬との効果の差はありますか?

A5:最新の論文では、「高価な薬」と「安価な薬」との治療効果に明確な差はないと報告されています。

 

Q6:使用されている薬は報告例が少なく、アメリカでは高価な方の薬が多く使われていると聞きました。本当に大丈夫なのでしょうか?

A6:アメリカの獣医師は、原則として動物用医薬品しか使用できないため、当院で使用しているような人用薬は使用できず、報告数が少ないという事情があります。
日本では、獣医師の管理のもと適切に使用することで十分な治療実績がありますので、ご安心ください。

 

Q7:骨髄抑制などの副作用があると聞きました。もう一方の薬には副作用がないのでしょうか?

A7:当院で使用している薬には高用量投与時にまれに骨髄抑制が報告されています。
一方で、もう一方の薬も最近では腎臓に結石ができるなどの副作用が報告されており、いずれの薬も副作用のリスクはゼロではありません。
どちらも比較的安全性の高い薬ではありますが、定期的な血液検査などのモニタリングが重要です。

 

Q8:他の猫が家にいます。隔離した方がよいですか?

A8:FIPは、猫コロナウイルスが体内で突然変異することによって発症します。
現在の報告では、FIPそのものが他の猫にうつる(水平感染する)可能性は極めて低いとされています。

 

Q9:治療費はどれくらいかかりますか?

A9:目安として以下の通りです。

内服薬のみ:3kgの猫さんで、1回500円 × 1日2回 × 84日 = 84,000円(税抜)
 ※調剤料・分包料が別途かかります。

注射薬を使用する場合:1回あたり 15,000円(税抜)
 ※注射処置代が別途かかります。

加えて、診察料・定期的な血液検査・補助薬などが必要になる場合もあります。
※猫さんの体重や症状により変動しますので、詳しくは個別にご案内いたします。

 

Q10:薬だけ送ってもらうことはできますか?

A10:申し訳ありません。診察を伴わない薬の処方は法律上認められておらず、対応できません。
ご理解のほどよろしくお願いいたします。

 

最後に

FIPは進行が非常に早い病気です。
少しでも早く治療を開始することで、猫ちゃんの命を救える可能性が大きく高まります。

気になること、不安なことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

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