猫が水をよく飲む・尿が多い~暑さだけで済ませないサイン~

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猫が水をよく飲む・尿が多い~暑さだけで済ませないサイン~

8月は、猫の水を飲む量や尿の量について相談されることがあります。暑い時期なので、水をよく飲むこと自体は不自然ではありません。

 

ただ、猫はもともと水をたくさん飲む動物ではありません。急に水を飲む量が増えた、トイレの砂の固まりが大きくなった、尿の回数が増えた、という変化がある場合は、暑さだけで片づけない方がよいでしょう。

 

診察で話を聞くと、最初は暑いからかなと思っていたとか、よく食べているし元気もあるので様子を見ていたら、体重が落ちていた、尿の量がかなり増えていた、という形で話されるケースをよくみかけます。

 

猫の多飲多尿は、暑さや環境だけでなく、体の中の変化がきっかけになっていることがあります。早めに気づければ、尿検査や血液検査で状態を確認し、その後の管理につなげやすくなります。

 

〇 暑い時期でも見逃したくない変化です

 

たしかに夏は室温や湿度の影響で、飲水量が少し増えることがあります。ドライフード中心の猫、活動量が増えた猫、室内が暑い環境にいる猫では、水を飲む様子が目立つこともあります。

 

しかし、明らかに水皿の減りが早い、トイレの砂の固まりが大きい、尿の回数が増えた、という場合は注意します。

 

特に、以前より尿の量が増えているかどうかが大事です。飲む量だけでは分かりにくいこともありますが、尿量の変化は飼い主さんが気づきやすいサインです。

 

多頭飼育では、どの猫が飲んでいるのか、どの猫の尿が増えているのか分かりにくいことがあります。可能であれば、トイレの使い方や砂の固まりの大きさを見ておくと参考になります。

 

〇 猫の多飲多尿で考える病気

 

猫で水をよく飲み、尿が多くなる場合、代表的には腎臓病、糖尿病、甲状腺機能亢進症などを考えます。

 

慢性腎臓病では、腎臓が尿を濃くする力が落ちてくると、薄い尿が多く出るようになります。その結果、失われる水分を補うために飲水量が増えます。

 

糖尿病では、血糖値が高くなり、尿に糖が出ることで尿量が増えます。尿量が増えるため、水をよく飲むようになります。食欲があるのに体重が落ちる、という形で気づかれることもあります。

 

甲状腺機能亢進症では、食欲があるのに痩せる、よく鳴く、活動性が変わる、吐く、便がゆるいといった症状と一緒に、多飲多尿が見られることがあります。高齢猫では特に意識したい病気です。

 

ほかにも、薬の影響、発熱、炎症、子宮の病気などが関係することもあります。症状だけで原因を決めることはできません。

 

〇 食欲があるから大丈夫とは限りません

 

猫の病気では、食欲が落ちることもありますが、食べているから安心とは言い切れません。

糖尿病や甲状腺機能亢進症では、食欲があるのに体重が落ちることがあります。腎臓病でも、初期には見た目の元気や食欲が大きく変わらないことがあります。

 

水をよく飲む、尿が多い、体重が減っている。この組み合わせがある場合は、元気そうに見えても確認した方がよいでしょう。

 

特に高齢猫では、少しずつ変化するため、毎日見ていると分かりにくいことがあります。数か月前の体重、トイレの量、水皿の減り方と比べると、変化に気づきやすくなります。

 

〇 トイレの変化は大事な情報です

 

猫の多飲多尿では、水を飲む量だけでなく、尿の様子も重要です。

 

・トイレの砂の固まりが大きくなった。
・掃除の回数が増えた。
・尿の色が薄くなった。
・以前よりトイレに入る回数が多い。
・ペットシーツが重くなった。

 

こうした変化は診察の参考になります。ただし、何度もトイレに入るのに尿が少ししか出ない、血尿がある、排尿時に鳴く、尿が出ていない、という場合は多尿とは別の問題を考えます。膀胱炎や尿道閉塞などでは対応が変わります。

 

尿が多いのか、出にくいのか。ここは見分けが大事です。

 

〇 診察で確認していること

 

診察では、まず体重、体型、脱水の有無、被毛の状態、口の中、心拍、腹部の触診などを確認します。

 

問診では、いつから水をよく飲むのか、尿の量はどのくらい増えたのか、食欲はどうか、体重は落ちていないか、吐き気や下痢がないかも確認します。

 

検査では、尿検査がとても重要です。尿比重を見ることで、尿が濃いのか薄いのかを確認します。尿糖、尿蛋白、潜血、沈渣なども合わせて見ます。血液検査では、腎臓の数値、血糖値、電解質、肝臓の数値、貧血の有無などを確認します。高齢猫では、必要に応じて甲状腺ホルモンの検査も考えます。

 

多飲多尿は、尿検査と血液検査を組み合わせて見ることで、原因に近づきやすくなります。

 

〇 ご自宅で見ておいてほしいこと

 

受診前に、家での変化を少し整理しておくと診察がスムーズです。

 

・水皿の減り方がいつから増えたか。
・尿の量や砂の固まりが増えているか。
・尿の回数が増えているか。
・食欲は増えたか、落ちたか。
・体重が減っていないか。
・吐く、下痢をする、元気がないなどがあるか。
・フードや薬を最近変えていないか。
・多頭飼育なら、どの猫の変化か分かるか。

 

飲水量を測れる場合は、1日でどのくらい減るかを見ておくと参考になります。ただし、多頭飼育では正確に測れないことも多いので、無理に数字にこだわらなくて大丈夫です。

トイレの写真や、砂の固まりの大きさが分かる写真も参考になります。

 

〇 まとめ

 

暑い時期は、猫の飲水量が増えたように見えることがあります。

 

ただ、明らかに水をよく飲む、尿が多い、トイレの砂の固まりが大きい、体重が減っている、という変化がある場合は、暑さだけで済ませない方がよいです。

 

猫の多飲多尿では、腎臓病、糖尿病、甲状腺機能亢進症などが見つかることがあります。食欲や元気があるように見えても、体の中で変化が進んでいる場合があります。

 

尿の量、水皿の減り方、体重の変化は、家で気づける大事なサインです。気になる変化が続く場合は、尿検査や血液検査で状態を確認して、その子に合った管理につなげていきます。