動物のリハビリって何をするの?足腰のケアと運動の考え方

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動物のリハビリって何をするの?足腰のケアと運動の考え方

「動物のリハビリ」と聞くと、少し特別な治療をイメージされる方も多いかもしれません。

「歩けなくなった子が受けるもの」
「手術の後にするもの」
「高齢犬の筋トレのようなもの」
「水中トレッドミルで歩くもの」

 

こういったイメージを持たれることもあります。

もちろん、手術後の回復や、足腰が弱ってきた子の運動としてリハビリを行うこともあります。ただ、リハビリはそれだけではありません。動物のリハビリは、痛みを減らすこと、動きやすい体を保つこと、筋肉や関節の機能を維持すること、生活の質を落とさないようにすることを目的に行います。

 

特にシニア期の犬では、「最近立ち上がりにくい」「散歩中に座り込む」「後ろ足がふらつく」といった変化が出てくることがあります。こうした変化に対して、ただ運動量を増やすのではなく、その子の体の状態に合わせて、無理のない方法を考えることが大切です。

 

〇 リハビリは「運動させること」だけではありません

リハビリというと、歩く練習や筋力トレーニングを思い浮かべる方が多いと思います。

もちろん、筋肉を保つための運動は大切です。しかし、痛みがある状態で無理に運動を増やすと、かえって足腰に負担がかかることがあります。

 

リハビリでまず大切なのは、今の体の状態を確認することです。

 

関節に痛みがあるのか、神経の反応が落ちているのか、筋肉が少なくなっているのか、体重が負担になっているのか。同じ「歩きにくい」でも、原因によって対応は変わります。

リハビリは、ただ動かすのではなく、痛みや体の使い方を見ながら、その子に合った動きを取り戻していくためのケアです。

 

〇 どんな子がリハビリの対象になるのか

リハビリは、歩けなくなった子だけのものではありません。例えば、次のような子ではリハビリを考えることがあります。

 

・高齢になって足腰が弱ってきた
・立ち上がるのに時間がかかる
・散歩中に座り込むことが増えた
・後ろ足がふらつく
・段差や階段を嫌がる
・足先をこする
・爪の削れ方に左右差がある
・関節炎がある
・膝蓋骨脱臼がある
・椎間板ヘルニアの治療後
・手術後の回復期
・肥満で足腰に負担がかかっている
・寝たきりを予防したい

 

特に多いのは、シニア期の足腰の相談です。「年だから仕方ない」と思われることもありますが、実際には痛みや関節の病気、神経の病気、筋力低下、体重増加などが関係していることがあります。早めに状態を確認して、その子に合ったケアを始めることで、歩きやすさを保てる場合があります。

 

〇 まず確認するのは痛みです

リハビリを考えるうえで、痛みの確認はとても大切です。痛みがある子に無理な運動をさせると、リハビリどころか悪化につながることがあります。犬は痛みがあっても、必ず鳴くわけではありません。痛みは、次のような形で出ることがあります。

 

・散歩に行きたがらない
・段差を嫌がる
・寝起きだけ動きが悪い
・抱き上げると嫌がる
・体を触られるのを避ける
・片足をかばう
・腰を丸める
・滑る床で足が開く
・以前より動きが慎重になった

 

痛みがある場合は、まず痛みを減らす治療を行いながら、無理のない範囲で体を動かします。リハビリは「がんばって動かす」ものではありません。痛みを見ながら、安全に動かせる範囲を探していくことが大切です。

 

〇 筋肉は使わないと少しずつ落ちていきます

足腰が弱ってくると、動く量が減ります。動く量が減ると、筋肉が落ちます。
筋肉が落ちると、さらに立ち上がりにくくなり、歩く距離も短くなります。

この悪循環は、シニア期の犬でよく見られます。特に後ろ足の筋肉は、少しずつ落ちていくことがあります。


毎日見ていると変化に気づきにくく、気づいたときにはかなり細くなっていることもあ

ります。リハビリでは、今ある筋肉をできるだけ保つこと、落ちた筋肉を少しずつ戻すこと

を目標にします。

 

ただし、急に長い距離を歩かせたり、階段をたくさん使わせたりするのは逆効果になることがあります。その子に合った負荷を少しずつかけることが大切です。

 

〇 リハビリで行うこと

リハビリで行う内容は、その子の状態によって変わります。代表的なものとしては、次のような方法があります。

 

・マッサージ
・関節の動きを保つ運動
・立つ練習
・体重移動の練習
・ゆっくり歩く練習
・バランス練習
・水中トレッドミルやプールでの水中運動
・自宅での運動指導
・体重管理
・生活環境の見直し

 

例えば、関節が硬くなっている子では、関節の動きを保つ運動を行うことがあります。

後ろ足の筋力が落ちている子では、立つ練習や体重移動の練習を行うことがあります。

歩き方にふらつきがある子では、ゆっくり歩く練習やバランス練習を組み合わせることがあります。

 

水中での運動には、水中トレッドミルやプールを使う方法があります。水の浮力を利用することで、関節への負担を減らしながら体を動かせる場合があります。歩く練習に向いている子もいれば、プールで体全体を使う運動が合う子もいます。
 ただし、すべての子に水中運動が向いているわけではありません。

心臓病や呼吸器の問題、強い痛み、皮膚の状態、性格、体力、水が苦手かどうかなどによっては、別の方法を選ぶこともあります。

 

〇 おうちでの環境づくりも大切です

リハビリは、病院で行う時間だけで完結するものではありません。毎日の生活環境を整えることも、とても大切です。足腰が弱っている子では、次のようなことが負担になることがあります。

 

・フローリングで滑る
・段差が多い
・階段を上り下りする
・爪が伸びている
・足裏の毛で滑る
・体重が増えている
・寝床が柔らかすぎて立ち上がりにくい

 

特にフローリングで滑る子は、踏ん張るために関節や筋肉へ余計な負担がかかります。

よく通る場所に滑りにくいマットを敷く、爪や足裏の毛を整える、段差を減らす、体重を管理する、といった工夫だけでも、歩きやすさが変わることがあります。

家の中での動きやすさを整えることも、リハビリの一部です。

 

〇 診察で確認していること

リハビリを考える場合、診察では次のようなことを確認します。

 

・いつから歩き方が変わったか
・急に悪くなったのか、少しずつ悪くなったのか
・痛がる様子があるか
・どの足をかばっているか
・立ち上がりや段差で変化があるか
・散歩の距離が変わったか
・足先をこすっていないか
・爪の削れ方に左右差がないか
・体重が増えていないか
・関節の動きに問題がないか
・神経の反応に異常がないか
・持病や内服薬があるか

 

同じ「歩きにくい」でも、関節の痛みなのか、神経の問題なのか、筋力低下なのかで対応は変わります。診察室では緊張して、普段と違う歩き方になることもあります。
自宅や散歩中の動画があると、普段の様子を確認しやすくなります。

 

〇 必要に応じて行う検査

 

身体検査・整形外科的検査

関節の動き、痛み、筋肉量、左右差、歩き方などを確認します。

膝、股関節、肘、肩、背中など、どこに負担がかかっているかを見ていきます。
痛みの場所や動き方によって、必要な治療やリハビリ内容が変わります。

 

神経学的検査

足先の反応、姿勢反応、反射、痛みの有無などを確認します。

神経の問題がある場合、関節の治療だけでは改善しにくいことがあります。
椎間板ヘルニアや脊髄の病気が疑われる場合は、リハビリの内容にも注意が必要です。

 

レントゲン検査

関節や骨、背骨の状態を確認します。関節炎、骨の変形、膝や股関節の異常、脊椎の変化などを確認するために行うことがあります。ただし、レントゲンだけでは痛みの程度や神経の状態までは分からないため、診察所見とあわせて判断します。

 

〇 リハビリを始める前に大切なこと

リハビリを始める前に大切なのは、「この運動をすればよい」と決めつけないことです。

同じシニア犬でも、関節炎が強い子、神経の反応が落ちている子、筋肉が落ちている子、肥満がある子では、必要な内容が違います。

 

また、今は動かした方がよい時期なのか、まず痛みや炎症を抑えた方がよい時期なのかも確認が必要です。状態に合っていない運動は、負担になることがあります。その子の年齢、体重、病気、痛み、性格、生活環境を見ながら内容を決めていくことが大切です。

 

〇 ご自宅で見ておいてほしいこと

足腰や動きが気になる場合は、以下を確認しておくと診察がスムーズです。

 

・いつから歩き方が変わったか
・急に悪くなったか、少しずつ悪くなったか
・どの足をかばっているか
・立ち上がりにくそうか
・階段や段差を嫌がるか
・散歩の距離が短くなったか
・爪が片側だけ削れていないか
・足先をこすっていないか
・体重が増えていないか
・家の床で滑っていないか
・痛がるタイミングがあるか

 

歩いている動画はとても参考になります。散歩中、立ち上がる場面、段差を上る場面などを撮っておくと判断しやすくなります。

 

〇 まとめ

動物のリハビリは、ただ運動を増やすことではありません。痛み、関節の動き、神経の反応、筋肉量、体重、生活環境を確認しながら、その子に合った体の使い方を考えるケアです。

特にシニア期では、足腰の変化を「年だから仕方ない」と見過ごしてしまうことがあります。


しかし、早めに状態を確認することで、痛みを減らしたり、筋力の低下をゆるやかにした

り、生活しやすい環境を整えたりできる場合があります。リハビリは、歩けなくなってから

始めるものだけではありません。立ち上がりにくい、ふらつく、段差を嫌がる、散歩の距離

が短くなった、足先をこする、といった小さな変化があるときにも考えたいケアです。

 

気になる変化がある場合は、歩き方の動画や生活環境の様子を記録してご相談ください。