ペットのフィットネス|シニア期の筋肉維持と体重管理

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ペットのフィットネス|シニア期の筋肉維持と体重管理

リハビリというと、病気や手術の後に行うもの、という印象があるかもしれません。

もちろん、椎間板ヘルニア、関節の病気、手術後の回復などでリハビリを行うことはあります。

ただ、リハビリの考え方は、悪くなってからだけのものではありません。

シニア期の筋肉維持、足腰の衰えの予防、太り気味の子の体重管理、運動不足の改善などを目的に、フィットネスとして利用することもあります。

 

「まだ歩けているけれど、後ろ足が細くなってきた。」
「散歩の距離が短くなった。」
「体重が増えて、動きが重そう。」
「高齢だけれど、できるだけ自分の足で歩いてほしい。」

 

こういった子では、ただ運動量を増やすのではなく、その子の体に合った運動を考えることが必要です。

 

当院では、陸上での運動だけでなく、体調や目的に合わせて、水中トレッドミルやプールを使った運動も組み合わせています。

 

〇 フィットネスは元気なうちから考えるケアです

 

リハビリという言葉には、歩けなくなってから始めるもの、というイメージがあります。

しかし、筋肉や関節の機能は、毎日の生活の中で少しずつ変化していきます。

特にシニア期では、運動量が減り、筋肉が落ち、立ち上がりや散歩が少しずつ大変になることがあります。

 

毎日見ていると変化に気づきにくく、年齢のせいだと思われることもあります。

ただ、筋肉が落ちると動きにくくなります。動きにくくなると、さらに運動量が減ります。

この流れに入る前に、無理のない運動を続けることが大事です。

 

フィットネスは、病気を治すためだけではなく、今ある体の機能をできるだけ保つためのケアです。

 

〇 シニア期に筋肉を維持する意味

 

シニア犬では、後ろ足の筋肉が少しずつ落ちてくることがあります。

 

後ろ足の筋肉が落ちると、立ち上がる、歩く、段差を越える、姿勢を保つといった動きが苦手になります。

 

・寝起きに時間がかかる。
・散歩の途中で止まる。
・後ろ足がふらつく。
・床で滑りやすくなった。

 

こういった変化は、痛みだけでなく、筋力低下が関係していることもあります。

筋肉は、使わなければ落ちていきます。反対に、その子に合った負荷を少しずつかけることで、維持しやすくなります。

 

大切なのは、急に長く歩かせることではありません。年齢、体重、関節の状態、心臓や呼吸の状態を見ながら、続けられる運動を選びます。

 

〇 長い散歩が合わない子もいます

 

足腰のために散歩を増やそう、と考える飼い主さんは多いです。

散歩はとても良い運動です。ただし、シニアの子や太り気味の子では、長い散歩が負担になることもあります。

 

体重が重い子では、歩くたびに膝、股関節、腰に負担がかかります。関節炎がある子では、長く歩いたあとに痛みが強くなることもあります。

 

シニアの子では、筋肉や心肺機能が落ちているため、若いころと同じ距離を歩くことが負担になる場合があります。

 

運動は必要ですが、長ければよいわけではありません。短い時間でも、その子に合った動かし方を、無理なく続ける方が向いていることがあります。

 

〇 太り気味の子にも運動は大切です

 

体重管理では、食事の見直しが中心になります。ただし、食事だけではなく、運動も重要です。

 

太り気味の子では、体重そのものが関節や腰への負担になります。膝、股関節、背中に負担がかかり、さらに動きたがらなくなることもあります。動かないと筋肉が落ち、消費エネルギーも減ります。その結果、さらに太りやすくなることがあります。

 

フィットネスでは、体重を落とすことだけを目的にするのではなく、筋肉をできるだけ保ちながら、動きやすい体を作ることを目標にします。運動だけで急に体重が落ちるわけではありません。食事管理と運動を組み合わせて、少しずつ進めることが基本です。

 

〇 水中トレッドミルやプールを使う理由

水中での運動には、水中トレッドミルやプールを使う方法があります。

水の中では浮力が働くため、陸上よりも関節への負担を減らしながら体を動かせる場合があります。


一方で、水の抵抗があるため、ゆっくりした動きでも筋肉を使います。この点は、長い

散歩が負担になりやすいシニアの子や、太り気味の子にとって大きなメリットです。陸上で

長く歩くと、体重の負担が膝や腰にかかります。水中ではその負担を減らしながら、歩く、

足を動かす、体を支えるといった運動ができます。

 

水中トレッドミルでは、水の深さや歩く速度を調整しながら運動できます。足の運びを見ながら進めやすいので、歩行の確認にも向いています。

 

プールでは、体全体を使った運動ができます。歩く運動とは違い、全身を使うため、運動不足の改善や体力づくりに向く子もいます。

 

ただし、水中運動がすべての子に合うわけではありません。心臓病や呼吸器の問題がある子、皮膚や耳の状態が悪い子、水が強いストレスになる子、痛みが強い子では、内容を慎重に選びます。

 

〇 陸上の運動も大切です

 

水中運動は有効な選択肢ですが、それだけで完結するわけではありません。

普段の生活は陸上です。立ち上がる、歩く、方向転換する、段差を越える、姿勢を保つ。
こうした動きは、陸上での体の使い方も関係します。そのため、当院では陸上での運動も組み合わせます。

・立つ練習
・体重移動の練習
・ゆっくり歩く練習
・バランス練習
・関節の動きを保つ運動
・自宅でできる軽い運動指導

 

水中で負担を減らしながら動かすこと。陸上で実際の生活動作につなげること。

この両方を見ながら、その子に合った内容を決めていきます。

 

〇 1回で大きく変わるものではありません

 

フィットネスやリハビリは、1回で劇的に変わるものではありません。

初回でも、体の使い方や苦手な動きが見えてくることはあります。
ただ、筋肉を維持したり、体重を管理したり、歩き方を整えたりするには、ある程度の継続が必要です。

 

週に1回でも、体調に合わせて続けていくことで、運動のリズムを作りやすくなります。

病院での運動に加えて、ご自宅での散歩や生活環境の見直しを組み合わせると、より続けやすくなります。

 

大切なのは、無理なく続けることです。疲れるまで運動させる必要はありません。
その日の体調、疲れ方、痛みの出方を見ながら調整します。

 

〇 こんな子は相談の目安です

 

次のような変化がある場合は、フィットネスやリハビリを考えるきっかけになります。

・後ろ足が細くなってきた
・立ち上がりに時間がかかる
・散歩の距離が短くなった
・階段や段差を嫌がる
・床で滑る
・太ってきた
・膝や腰に不安がある
・シニア期に入って運動量が減った
・寝ている時間が増えた
・できるだけ筋肉を維持したい

 

ただし、痛みが強い、急に歩けない、足を引きずる、ふらつきが強い、呼吸が苦しそうといった場合は、まず診察で原因を確認します。フィットネスは、病気の代わりに行うものではありません。痛みや病気がある場合は、それを確認したうえで運動内容を決めます。

 

〇 診察で確認していること

 

フィットネスやリハビリを始める前には、まず体の状態を確認します。

・体重と体型
・筋肉のつき方
・歩き方
・関節の動き
・痛みの有無
・神経の反応
・心臓や呼吸の状態
・持病や内服薬
・普段の散歩量
・家の床や段差などの生活環境

 

同じ足腰の弱さでも、筋力低下なのか、痛みなのか、神経の問題なのかで内容は変わります。動画があると、普段の歩き方を確認しやすくなります。散歩中、立ち上がる場面、階段や段差を使う場面などを撮っておくと参考になります。

 

〇 まとめ

 

ペットのフィットネスは、病気や手術の後だけに行うものではありません。

シニア期の筋肉維持、足腰の衰えの予防、太り気味の子の体重管理、運動不足の改善にも役立つことがあります。

 

長い散歩が負担になる子でも、水中トレッドミルやプールを使うことで、関節や腰への負担を抑えながら運動できる場合があります。当院では、陸上での運動に加えて、体調や目的に合わせて水中での運動も組み合わせています。

 

ただし、1回で大きく変わるものではありません。その子に合った内容を、無理のない範囲で続けることが大切です。

年齢のせいだと思っていた変化でも、体の状態を見直すことで、できることが見つかる場合があります。気になる歩き方や体重、筋肉の変化がある場合は、普段の様子や動画を記録してご相談ください。