健康診断って何を調べるの?~血液検査だけでは分からないこと~

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健康診断って何を調べるの?~血液検査だけでは分からないこと~

健康診断というと、まず血液検査を思い浮かべる方が多いと思います。

 

実際、血液検査はとても大事です。肝臓や腎臓、血糖、貧血、炎症など、体の中で起きている変化を知る手がかりになります。ただ、健康診断は血液を採って数値を見るだけではありません。

 

体重が少し減っている。心臓の音に変化がある。歯石が増えている。お腹を触ると臓器の大きさが気になる。尿が薄くなっている。こうした変化は、血液検査だけでは分からないことがあります。

 

健康診断では、診察、血液検査、尿検査、レントゲンや超音波検査などを、その子の年齢や体調に合わせて組み合わせて見ていきます。

 

〇 まずは診察から始まります

 

健康診断でも、最初に行うのは普段の診察と同じです。体重を測り、体温や心拍、呼吸を確認します。目、耳、口の中、皮膚、リンパ節、心臓や肺の音、お腹の触診、関節や歩き方なども見ます。

 

飼い主さんから聞く普段の様子も大事です。食欲は変わっていないか。水を飲む量は増えていないか。尿や便はどうか。最近少し寝ている時間が増えていないか。散歩で歩く距離が短くなっていないか。

 

毎日一緒にいると、少しずつ進む変化は気づきにくいことがあります。

「元気も食欲もあるから特に問題ないと思っていた」という子でも、以前の体重と比べると減っていたり、心雑音が聞こえたり、口の中に痛みの原因が見つかったりすることがあります。

 

〇 血液検査で分かること

 

血液検査では、大きく分けて血球の検査と生化学検査を行います。

 

血球の検査では、赤血球、白血球、血小板などを見ます。貧血がないか、炎症を疑う変化がないか、血小板が減っていないかなどを確認します。

 

生化学検査では、肝臓や腎臓に関係する数値、血糖、蛋白、脂質などを見ます。

まだ症状が出ていなくても、以前の検査と比べることで変化に気づくことがあります。

そのため、健康なときの数値を知っておくことにも意味があります。ある項目が基準範囲の中に入っていても、その子自身の過去の数値と比べると変化していることもあります。

 

〇 血液検査が正常なら安心?

血液検査が正常であれば、それはもちろんよい結果です。ただし、「血液検査が正常=体の中に何も問題がない」という意味ではありません。

 

たとえば、初期の心臓病、膀胱結石、歯の病気、関節の変化、小さな腫瘤などは、血液検査にほとんど変化が出ないことがあります。

 

肝臓や腎臓についても、数値だけですべてが分かるわけではありません。臓器の形、大きさ、内部の状態は、血液検査では見ることができません。

 

だからといって、すべての子に毎回すべての検査をするわけでもありません。

診察や年齢、これまでの病歴、血液検査の結果を見ながら、次に何を確認するかを考えます。

 

〇 尿検査で分かることもあります

 

尿検査は、健康診断では意外と大事な検査です。尿の濃さ、蛋白、糖、血液、結晶などを確認します。たとえば腎臓は、血液検査の数値が上がる前から尿を濃くする力が低下することがあります。血糖が高くなれば、尿に糖が出ることもあります。

 

また、血尿があっても、猫ではトイレの砂に吸収されて気づかれないことがあります。

採血と比べると地味に見える検査ですが、血液検査とは違う方向から体の状態を見ることができます。

 

〇 レントゲンでは何を見る?

 

レントゲン検査では、胸やお腹の中を全体的に見ることができます。胸では、心臓の大きさや肺の状態などを確認します。お腹では、肝臓、腎臓、膀胱などの大きさや位置、胃腸のガスの状態、レントゲンに写る結石などを見ることがあります。骨や関節を見るのもレントゲンの得意なところです。

 

ただし、レントゲンでは臓器の中身まで細かく分かるわけではありません。そこで、必要に応じて超音波検査を組み合わせます。

 

〇 超音波検査では何を見る?

 

超音波検査では、体の中の臓器を断面で見ることができます。肝臓、胆のう、腎臓、膀胱、胃腸、脾臓、子宮などの形や内部の状態を確認します。

 

血液検査で肝臓の数値が少し上がっているときに、肝臓や胆のうはどのような状態なのかを見る。尿検査で血尿があれば、膀胱に結石や腫瘤を疑うものがないかを見る。

 

このように、血液や尿の結果と合わせて考えることで分かることが増えます。一方で、超音波検査だけですべてが分かるわけでもありません。レントゲンの方が分かりやすい病気もありますし、血液検査でなければ分からない変化もあります。

 

それぞれの検査には、得意なことと不得意なことがあります。

 

〇 年齢によって見るところも変わります

 

若い犬や猫と、シニア期の犬や猫では、健康診断で気にするところも変わってきます。

若い頃は、先天的な病気、感染症、寄生虫、歯や皮膚の状態などを見る機会が多くなります。

年齢が上がると、腎臓、肝臓、心臓、ホルモンの病気、関節、腫瘍なども気になるようになります。

 

また、犬種や猫種によっても注意する病気があります。何歳だからこの検査を必ずする、というより、年齢、体格、品種、これまでの病気、普段の様子を合わせて考えます。

 

〇 健康なときの記録も大切です

 

健康診断は、病気を見つけるためだけのものではありません。何も異常がなかったときの体重、血液検査、尿検査の結果も、その子の記録として残ります。数年後に数値が変わったとき、以前はどうだったのか比べることができます。

 

特に少しずつ進む病気では、一度だけの検査より、過去との比較が参考になることがあります。「去年と比べて体重が減っている」「腎臓の数値は正常範囲だけれど少しずつ上がっている」「尿が以前より薄くなっている」といった変化に気づくきっかけになります。

 

〇 すべての検査をすればよいわけではありません

 

健康診断というと、検査項目が多いほど安心と思われることもあります。ただ、すべての犬や猫に同じ検査が必要なわけではありません。

 

若くて症状もなく、診察でも問題がない子と、高齢で体重が減ってきた子では、必要な検査は違います。以前に腎臓の数値が気になった子なら尿検査も見たい。心雑音があるなら胸の検査を考える。血尿があった子なら膀胱を確認する。その子に今必要な検査を選ぶことが健康診断では大事です。

 

〇 まとめ

健康診断では、血液検査だけでなく、診察、尿検査、レントゲン検査、超音波検査などを組み合わせて体の状態を確認します。

 

血液検査が正常でも、画像検査や診察で分かることがあります。反対に、見た目には元気でも血液や尿に変化が出ていることもあります。

 

毎回すべての検査をする必要はありません。

 

年齢、これまでの病気、普段の様子、診察で気になったところを見ながら、その子に合った健康診断を考えていきます。元気で食欲もある時期の記録を残しておくことも、これから先の変化を見つけるための大事な材料になります