犬が足をかばう・びっこをひく~少し様子を見てよい?受診の目安~
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犬が足をかばう・びっこをひく~少し様子を見てよい?受診の目安~
散歩から帰ってきたら、片方の足を少し浮かせている。朝起きたときだけ歩き方がおかしい。走ったあとから、なんとなく足をかばっている。犬では、こうした足の相談がよくあります。
少し休んだら普通に歩くようになり、そのまま何事もなかったように過ごすこともあります。一方で、一度よくなったように見えても、数日するとまた同じ足をかばう子もいます。
犬は痛みがあっても普通に歩こうとすることがあります。足をまったく着けないほどではなくても、歩幅が小さい、座り方がいつもと違う、階段を嫌がるといった変化が出ていることがあります。
〇 まず足の裏から見てみます
急に足をかばうようになった場合、関節や骨だけが原因とは限りません。
肉球に傷がある、小石や草の種などが挟まっている、爪が割れている、指の間が赤く腫れているといったことでも歩き方は変わります。
散歩から帰った直後であれば、まず肉球や爪、指の間を見てみてください。
触ったときに強く嫌がる場合は、無理に曲げ伸ばししたり、何度も押したりする必要はありません。特に爪の根元から出血している、肉球が大きくめくれている、異物が深く刺さっている場合は、そのまま歩かせずに診てもらった方がよいでしょう。
〇 少し休むと普通に歩く場合
走り回ったあとや、普段より長く散歩したあとに一時的に足をかばい、休むと元に戻ることがあります。
軽い筋肉痛や捻挫などで落ち着く場合もあります。ただ、一度よくなったから原因がなくなったとは限りません。
数日おきに同じ足をかばう、散歩の後半になると歩き方が変わる、寝起きだけぎこちない、といった変化を繰り返す場合は、関節や靱帯などに問題がないか確認します。
診察室では普通に歩いていることも珍しくありません。ご自宅で歩き方がおかしいと感じたときに、前、横、後ろから数秒ずつ動画を撮っておくと参考になります。
〇 小型犬でよく見る膝のトラブル
小型犬では、膝のお皿が本来の位置から外れる膝蓋骨脱臼がよく見られます。
散歩中に突然後ろ足を上げ、数歩するとまた普通に歩き始める。走っている途中で片足だけぴょんと上げる。このような歩き方をすることがあります。
軽い場合はほとんど症状がない子もいます。一方で、脱臼を繰り返しているうちに膝に負担がかかり、痛みが出たり、関節炎が進んだりすることがあります。
膝蓋骨脱臼があるから必ず手術、というわけではありません。外れやすさ、痛み、歩き方、年齢、体重、生活への影響を見ながら、そのまま経過を見るのか、体重管理や運動を見直すのか、手術を考えるのかを判断します。
〇 急に後ろ足を着かなくなった場合
中型犬や大型犬だけでなく、小型犬でも、膝の中にある前十字靱帯を傷めることがあります。急に後ろ足を着かなくなった、走ったあとから強くかばう、座ったときに片方の足だけ横へ投げ出すといった変化が見られることがあります。
最初は少し足を浮かせる程度でも、時間とともに膝の関節炎が進むことがあります。
また、一度片側の前十字靱帯を傷めた犬では、反対側にも同じような問題が起きることがあります。
膝だけでなく、股関節や足首、腰などでも似たような歩き方になるため、歩き方だけで場所を決めつけることはできません。
〇 シニア犬では立ち上がり方も見ます
年齢が上がってくると、「びっこをひく」というほどはっきりしなくても、少しずつ動き方が変わることがあります。
朝起きた直後は動きが硬い。寝ていたあとに立ち上がるまで時間がかかる。散歩の最初はゆっくりだけれど、歩いているうちに動けるようになる。階段やソファに上がらなくなる。
こうした変化では、関節炎や腰の痛みなどを考えます。
年を取ったから歩くのが遅くなった、と見えることもありますが、実際には痛みを避けて動きを減らしている子もいます。
以前は普通にできていたことをしなくなった場合は、単に年齢だけでなく、痛みがないかを見ることも大切です。
〇 前足をかばう場合も原因はいろいろあります
前足のびっこでは、肩、肘、手首、指など、いろいろな場所を確認します。また、首の痛みが原因で前足をかばっているように見えることもあります。
特に若い大型犬では、成長期に起こる骨や関節の病気を考えることがあります。シニア犬では関節炎だけでなく、骨の病気や腫瘍なども候補になります。
どこを触っても痛がらないから問題がない、とは限りません。歩いているときだけ痛い、特定の方向に関節を動かしたときだけ反応する、といったこともあります。
〇 診察では歩き方と触った感じを合わせて見ます
まず実際に歩いてもらい、どの足をかばっているのかを確認します。
そのあと、指先から順番に関節や骨、筋肉を触り、腫れや熱、痛みがないかを見ます。
膝であれば、お皿が外れやすくないか、関節が不安定になっていないか。股関節や肘、肩では、動かしたときに痛みがないかを確認します。
必要に応じてレントゲン検査を行います。ただし、レントゲンですべての痛みの原因が分かるわけではありません。骨の変化や関節炎は確認できますが、靱帯や筋肉などは分かりにくいことがあります。
診察したときの痛みや歩き方と、画像の両方を合わせて判断します。
〇 家で安静にするときにも注意があります
軽く足をかばっている程度で元気もあり、少し様子を見る場合には、激しい運動は控えます。散歩は排泄を済ませる程度にして、走らせたり、ボール遊びをしたり、階段を何度も上り下りさせたりするのは避けます。
一度普通に歩いたからといって、すぐに運動量を元に戻すと再び痛めることがあります。
また、人用の痛み止めを自己判断で与えないでください。
犬では、人が普通に使っている鎮痛薬でも中毒を起こすものがあります。痛み止めが必要な場合は、原因や腎臓、肝臓、年齢などを見て犬に使用できる薬を選びます。
〇 早めに診てもらった方がよい場合
少し歩き方がおかしいだけなら、短時間休ませて様子を見られる場合もあります。
ただし、
・足をまったく着けない。
・強く痛がっている。
・足が腫れている。
・明らかに変形している。
・出血している。
・転落や交通事故のあとから歩けない。
・後ろ足を引きずる。
・ふらつきや麻痺のような動きがある。
・元気や食欲も落ちている。
このような場合は、早めに状態を確認した方がよいでしょう。
また、軽いびっこでも何日も続く、何度も繰り返す場合は、一度診察して原因を確認しておくことをおすすめします。
〇 まとめ
犬が足をかばう原因は、肉球や爪の傷から、膝、股関節、靱帯、腰の痛みまでさまざまです。少し休んだら普通に歩くこともありますが、同じ症状を何度も繰り返している場合は、その足に負担がかかっている可能性があります。
特にシニア犬では、はっきりびっこをひかなくても、立ち上がりが遅くなった、散歩が短くなった、階段を嫌がるようになったという形で痛みが出ることがあります。
歩き方がおかしいと感じたときには、まず足の裏や爪を確認し、できれば歩いている様子を動画に残しておいてください。いつから、どの足を、どんなときにかばうのか。その情報が、診察で原因を探す大きな手がかりになります。