猫が痩せてきた~食べているのに体重が減るときに考えること~

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猫が痩せてきた~食べているのに体重が減るときに考えること~

猫の体重が少しずつ減っていても、毎日一緒にいるとなかなか気づかないことがあります。

 

見た目はそれほど変わらない。食欲もある。元気に動いている。それでも診察で体重を測ってみると、数か月前よりかなり減っていた、ということがあります。

 

猫では数百グラムの変化でも、体重全体から見ると小さくありません。

 

特に中高齢の猫で、食べているのに痩せてきた、背中や腰回りが細くなった、抱いたときに軽く感じるようになった場合は、年齢のせいだけで済ませず、一度体の状態を見ておいた方がよいことがあります。

 

〇 猫の体重減少は気づきにくいことがあります

 

毛が長い猫や、もともと体格の大きな猫では、体重が減っても見た目では分かりにくいことがあります。

 

体重そのものはあまり変わっていなくても、筋肉が落ちて体つきが変わっていることもあります。

 

背骨が触りやすくなった。腰回りが細くなった。後ろ足の筋肉が減ってきた。こうした変化は、体重計の数字だけではなく、実際に体を触ったときに分かることがあります。

 

高齢になると少しずつ筋肉が落ちることもありますが、急に減ってきた場合や、半年ほどで明らかに体型が変わった場合は、病気が隠れていないか確認します。

 

〇 食べているのに痩せるとき

 

食欲があると、体調は悪くないように見えます。

 

ただ、猫では食べているのに体重が減る病気があります。

 

中高齢の猫でよく確認するのが、甲状腺機能亢進症です。甲状腺ホルモンが過剰になる病気で、よく食べるのに痩せる、以前よりよく動く、よく鳴く、水をよく飲む、吐く、便がゆるくなる、といった変化が見られることがあります。

 

食欲が増えているため、最初は元気になったように見えることもあります。

 

糖尿病でも、食べているのに体重が減ることがあります。水を飲む量や尿の量が増えていないかも一緒に確認します。

 

また、食べたものをうまく消化・吸収できない胃腸の病気でも、食欲が保たれたまま痩せてくることがあります。

 

「食べているから大丈夫」とは限らないところが、猫の体重減少では少しやっかいなところです。

 

〇 食欲も落ちて痩せている場合

 

食欲が落ちていて体重も減っている場合は、さらに原因の幅が広くなります。

 

慢性腎臓病では、最初は水を飲む量や尿の量が増える程度でも、進んでくると食欲低下や嘔吐、体重減少が見られることがあります。

 

口の中の痛みもよくあります。歯周病や歯の病気、口内炎などがあると、お腹は空いているのに食べにくいことがあります。ごはんのところまでは行くけれど食べない、柔らかいものだけ食べる、口からこぼす、片側だけでかむ、といった様子が手がかりになることがあります。

 

胃腸や肝臓、膵臓などの病気でも食欲が落ちますし、腫瘍などが背景にある場合もあります。体重が減ったという変化だけで病気を決めることはできません。食欲、水を飲む量、尿、便、嘔吐などを合わせて見ていきます。

 

〇 吐く、便が変わる、水をよく飲む

 

体重減少があるときは、ほかの小さな変化も重要です。

 

以前より吐く回数が増えた。便が柔らかくなった。逆に便が出にくくなった。水を飲む量が増えた。トイレの尿の固まりが大きくなった。

一つひとつはそれほど大きな変化に見えなくても、体重減少と一緒に起きている場合は原因を考える手がかりになります。

 

活動性も見ておきます。以前よりよく動くのか、反対に寝ている時間が増えたのか。高いところに上らなくなった、ジャンプをためらうようになった場合は、体力や筋肉だけでなく、関節の痛みが関係していることもあります。

 

猫は体調が悪くても普段通りに見えることがあります。食べているかどうかだけではなく、体重や生活の変化を一緒に見る方が分かりやすくなります。

 

〇 診察で確認していること

 

まず、今の体重を測り、以前の記録と比べます。

 

半年でどのくらい減っているのか。急に減ったのか、ゆっくり減っているのか。それだけでも見方が変わります。

 

体を触って、脂肪だけでなく筋肉の付き方も確認します。背中や腰、後ろ足の筋肉が落ちていないかを見ます。

 

口の中、甲状腺、心臓の音、お腹の触診なども確認します。

 

血液検査では、貧血、炎症、腎臓や肝臓、血糖などを見ます。中高齢の猫で甲状腺の病気が疑われる場合は、T4(甲状腺ホルモン)を測定します。

 

水をよく飲む、尿が多いといった変化があれば、尿検査も参考になります。

 

必要に応じて超音波検査などで、お腹の臓器や胃腸の状態を確認します。

 

すべての検査を最初から行うというより、年齢や症状、診察で気になったところから順番に見ていきます。

 

〇 家でも体重を測ってみてください

 

猫の体重は、月に1回くらい測っておくと変化に気づきやすくなります。

 

猫を抱いて人用の体重計に乗り、自分の体重を引く方法でも、おおまかな変化は分かります。

 

毎回多少の誤差はありますが、同じ条件で測って記録しておくことに意味があります。

特にシニア期に入った猫では、食欲があるかどうかだけでなく、体重が維持できているかも見ておきたいところです。

 

ご自宅では、

 

・食べる量が変わっていないか。
・水を飲む量が増えていないか。
・尿の量が増えていないか。
・吐く回数が増えていないか。
・便の状態が変わっていないか。
・背中や腰回りが細くなっていないか。
・以前よりよく鳴く、落ち着かないなどの変化がないか。

 

このあたりを見ておくと診察の参考になります。

 

〇 まとめ

 

猫の体重減少は、見た目だけでは気づきにくいことがあります。

 

特に中高齢の猫では、食欲があるのに痩せてきた場合でも、甲状腺機能亢進症や糖尿病、胃腸の病気などが隠れていることがあります。

 

食欲も落ちている場合は、腎臓病や口の痛み、消化器の病気なども考えます。

 

一度だけの体重より、以前と比べてどう変わっているかを見る方が分かりやすいです。

最近少し軽くなった気がする、背中や腰が細くなってきた、食べているのに体重が減っている。そんな変化があれば、年齢のせいだけにせず、一度体重と体の状態を確認してみるとよいでしょう。