猫の脱水は見た目で分かりにくい|夏に注意したいサイン
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猫の脱水は見た目で分かりにくい|夏に注意したいサイン
暑い時期になると、猫の食欲低下や元気の低下についてのご相談が増えてきます。
「暑くなってから食べる量が減った」
「水は飲んでいると思うけど、元気がない」
「いつもより寝ている時間が長い」
「高齢なので、夏の暑さが心配」
こういったご相談は、夏場によくあります。
猫はもともと水をたくさん飲む動物ではありません。また、体調が悪くてもじっとしていることが多く、脱水があっても飼い主さんからは分かりにくいことがあります。
特に高齢の猫、腎臓病がある猫、糖尿病や甲状腺の病気がある猫、食欲が落ちている猫では、暑い時期に脱水が進みやすくなることがあります。
脱水は、単に「水分が足りない」というだけではありません。腎臓、胃腸、循環、体温調節などにも影響するため、早めに気づくことが大切です。
〇 猫の脱水は見た目だけでは分かりにくいです
猫は、体調が悪くても静かにしているだけに見えることがあります。
「いつもより寝ている」
「少し食べが悪い」
「なんとなく元気がない」
このような変化の裏に、脱水や発熱、内臓の病気が隠れていることがあります。また、猫は毛で体が覆われているため、皮膚や体の状態を見ただけでは脱水に気づきにくいことがあります。
脱水は、軽い段階では分かりにくく、進んでから元気や食欲の低下として見えてくることもあります。
〇 夏に脱水が起こりやすい理由
夏は気温や湿度が高くなり、体に熱がこもりやすくなります。猫は犬のようにハアハアして体温を下げることはあまり多くありませんが、暑さによる負担はあります。暑い部屋で過ごしている、食欲が落ちている、水を飲む量が少ない、嘔吐や下痢がある、尿量が多い、といった条件が重なると脱水が進みやすくなります。
特に食欲が落ちているときは注意が必要です。ドライフードを食べる量が減れば、水分だけでなく、体に必要なエネルギーや栄養も不足しやすくなります。ウェットフードを食べている猫では、食べる量が減ることで水分摂取量も大きく減ることがあります。
「少し食べているから大丈夫」と見えても、実際には必要な量を十分に取れていないことがあります。
〇 特に注意したい猫
どの猫でも脱水になる可能性はありますが、特に注意したい猫がいます。
・高齢の猫
・子猫
・腎臓病がある猫
・糖尿病がある猫
・甲状腺機能亢進症がある猫
・嘔吐や下痢がある猫
・食欲が落ちている猫
・痩せている猫
・肥満で動きが少ない猫
・心臓病がある猫
・暑い部屋で留守番する時間が長い猫
高齢猫では、腎臓病や甲状腺の病気が隠れていることがあります。これらの病気では、水を飲む量や尿の量が変わることがあり、脱水とも関係します。また、糖尿病では尿量が増えることがあり、水を飲んでいても体の水分が不足してくることがあります。
「よく水を飲んでいるから脱水ではない」とは限りません。飲水量だけでなく、尿の量、体重、食欲、元気をあわせて見ることが大切です。
〇 早めに気づきたいサイン
猫の脱水や夏の体調不良では、次のような変化に注意します。
・食欲が落ちている
・元気がない
・寝ている時間が増えた
・毛づやが悪い
・口の中が乾いている
・目がくぼんで見える
・体重が減っている
・便が硬い、便秘気味
・尿の量がいつもと違う
・水を飲む量が増えた、または減った
・嘔吐がある
・下痢がある
・体が熱い
・呼吸が速い
この中でも、食欲低下、元気低下、体重減少、嘔吐や下痢を伴う場合は注意が必要です。
猫では、脱水があっても初期には分かりにくいことがあります。
「何となくいつもと違う」という変化が、実際には大事なサインであることもあります。
〇 危険なサイン
次のような症状がある場合は、早めに診察で確認した方がよいです。
・ぐったりしている
・ほとんど食べない
・水も飲まない
・何度も吐く
・下痢が続く
・体重が明らかに減っている
・口を開けて呼吸している
・呼吸が苦しそう
・尿が出ていない
・何度もトイレに行くのに尿が少ない
・体が熱い
・意識がぼんやりしている
・立てない、ふらつく
特に、口を開けて呼吸している猫や、呼吸が苦しそうな猫は急いで確認が必要です。
また、何度もトイレに行くのに尿が出ていない場合は、脱水とは別に尿道閉塞などの緊急疾患が隠れていることがあります。夏だから元気がないだけ」と決めつけず、呼吸、食欲、尿の状態はよく見てください。
〇 皮膚をつまむだけでは判断できません
脱水の確認として、皮膚をつまんで戻りを見る方法を聞いたことがある方もいるかもしれません。たしかに、脱水が強いと皮膚の戻りが悪くなることがあります。
ただし、猫ではこの方法だけで正確に判断するのは難しいです。高齢の猫では、脱水がな
くても皮膚の弾力が落ちていることがあります。痩せている猫、肥満の猫、毛量の多い猫でも分かりにくいことがあります。
そのため、皮膚の戻りだけで「大丈夫」「脱水している」と判断するのは危険です。
診察では、皮膚だけでなく、口の中の湿り気、目の状態、体重、体温、心拍、全身状態、血液検査や尿検査などを組み合わせて判断します。
〇 おうちでできる水分対策
猫の水分摂取を増やすために、ご自宅でできる工夫もあります。
・水飲み場を複数置く
・器の種類を変えてみる
・水をこまめに入れ替える
・流れる水を好む場合は給水器を使う
・ウェットフードを取り入れる
・フードに少量の水を加える
・涼しい場所で食事できるようにする
・トイレや食器の場所を見直す
猫によって、水の好みはかなり違います。
器の材質、置き場所、水の新しさ、流れる水かどうかで飲む量が変わることがあります。
ただし、食欲が落ちている猫に無理に食べさせたり、嫌がる猫に無理に水を飲ませたりするのは避けてください。
吐き気がある猫、ぐったりしている猫、呼吸が苦しそうな猫に無理に口から水を入れるのは危険です。
〇 診察で確認していること
猫の脱水や夏の体調不良が疑われる場合、診察では次のようなことを確認します。
・いつから食欲が落ちているか
・水を飲む量が増えたか、減ったか
・尿の量が変わったか
・嘔吐や下痢があるか
・体重が減っていないか
・体温が高くないか
・口の中が乾いていないか
・呼吸が苦しそうではないか
・便秘がないか
・持病や内服薬があるか
・室内の暑さや留守番環境
特に、飲水量と尿量の変化は重要です。「水をたくさん飲んでいる」という場合でも、腎臓病、糖尿病、甲状腺機能亢進症などが関係していることがあります。
多頭飼育では、どの猫がどのくらい水を飲んでいるか、尿をしているかが分かりにくいことがあります。
可能な範囲で、食事量、飲水量、尿や便の状態を確認しておくと診察の参考になります。
〇 必要に応じて行う検査
血液検査
脱水の程度、腎臓、肝臓、血糖、電解質、炎症、貧血の有無などを確認します。
特に高齢猫では、腎臓病や甲状腺機能亢進症が隠れていないかを見ることがあります。
嘔吐や下痢がある場合、食欲不振が続く場合、体重が減っている場合には、血液検査が大切です。
尿検査
尿の濃さ、血尿、結晶、糖、蛋白、感染の可能性などを確認します。猫では、尿の濃さを見ることで、脱水や腎臓の状態を判断する助けになります。また、頻尿や血尿、尿が出にくい様子がある場合は、尿路疾患の確認も重要です。
画像検査
必要に応じて、レントゲン検査や超音波検査を行うことがあります。便秘、腎臓や膀胱の異常、腹部臓器の状態、腫瘤、腹水などを確認するために行います。血液検査や尿検査だけでは原因がはっきりしない場合に、画像検査を組み合わせることがあります。
〇 治療は状態によって変わります
軽い脱水で、全身状態が比較的安定している場合は、皮下点滴や食事管理で対応することがあります。
一方で、ぐったりしている、何度も吐いている、重度の脱水がある、腎臓の数値が悪い、電解質の異常があるといった場合は、静脈点滴や入院管理が必要になることもあります。
吐き気がある場合は制吐薬、食欲が落ちている場合は食欲を助ける治療、便秘がある場合は便を出しやすくする治療などを組み合わせます。
脱水は、原因を確認することも大切です。暑さだけでなく、腎臓病、糖尿病、甲状腺機能亢進症、胃腸炎、尿路疾患などが背景にある場合は、それぞれに合わせた治療が必要です。
〇 ご自宅で見ておいてほしいこと
猫の脱水や夏の体調不良が心配なときは、次の点を確認しておくと診察がスムーズです。
・いつから食欲が落ちているか
・水を飲む量が増えたか、減ったか
・尿の量が増えたか、減ったか
・嘔吐や下痢があるか
・便秘がないか
・体重が減っていないか
・呼吸が速くないか
・口を開けて呼吸していないか
・寝ている時間が増えていないか
・室内が暑くなりすぎていないか
可能であれば、食べた量、飲んだ水の量、尿や便の回数を記録しておくと参考になります。
多頭飼育の場合は、誰が食べているか、誰が尿をしているかが分かりにくいため、体調が気になる猫だけ一時的に分けて確認することもあります。
〇 まとめ
猫の脱水は、見た目だけでは分かりにくいことがあります。
特に夏場は、暑さ、食欲低下、嘔吐や下痢、尿量の変化、持病などが重なることで脱水が進みやすくなります。
高齢猫、腎臓病がある猫、糖尿病や甲状腺機能亢進症がある猫、食欲が落ちている猫では特に注意が必要です。
食欲が落ちている、元気がない、体重が減っている、吐く、下痢をする、尿の量がいつもと違う、呼吸が苦しそうといった変化がある場合は、早めに状態を確認した方がよいです。
暑い時期は、水飲み場を増やす、ウェットフードを活用する、室温を管理するなど、猫が無理なく水分を取れる環境を整えてあげることが大切です。
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